アワビと目の健康


鮑

アワビは、独特の風味と歯ごたえで知られ、古くから日本をはじめ世界中で愛されてきた高級食材です。なかでも「目に良い」と伝えられている点は、多くの方が気になるところではないでしょうか。実は近年、アワビに含まれる栄養素を科学的に調べる研究が進み、その結果が少しずつ明らかになってきました。本コラムでは、アワビがもつ豊富な栄養素や伝統的な知識をもとに、どのように目の健康を支えてくれるのかをわかりやすく解説します。

1. アワビが注目される理由

豊富な栄養成分

アワビは低脂肪ながら良質なタンパク質を含み、ビタミンやミネラル、オメガ3脂肪酸などがバランスよく含まれているのが特徴です。さらに、コラーゲンやタウリンも多く含まれていることから、美容や体力維持の面でも注目を集めています。

伝統的な知恵

日本や中国の伝統医学では、アワビは「目を明るくする食材」として古くから知られてきました。特にアワビの殻(石決明と呼ばれる生薬)は、さまざまな目の症状に用いられてきた歴史があります。現代の研究でも、こうした伝統的な使い方を裏付けるようなデータが見つかりつつあるのです。

2. アワビに含まれる目に嬉しい栄養素

ビタミンA

暗い場所での視力維持に不可欠

ビタミンAは網膜の「ロドプシン」という光を感じる色素の生成を助けるため、夜間の視力維持に欠かせない栄養素です。アワビには少量ではありますがビタミンAが含まれ、さらに体内でビタミンAに変換されるβ-カロテンも含まれているといわれています。

亜鉛

ビタミンAの働きをサポート

亜鉛は網膜、とくに黄斑部に多く存在し、ビタミンAを目へ運ぶタンパク質の合成をサポートする重要なミネラルです。亜鉛が不足すると夜間視力の低下や加齢黄斑変性のリスクが高まるとも言われており、アワビを食べることで亜鉛を補うメリットが期待できます。

タウリン

網膜の健康維持と視覚疲労の軽減

タウリンは網膜細胞を酸化ストレスから守る働きがあるとされ、視力維持や疲れ目の回復に役立つ可能性が報告されています。パソコンやスマートフォンの使用で目を酷使している現代人にとって、タウリンが豊富なアワビは魅力的な食材です。

オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)

ドライアイや加齢黄斑変性のリスク軽減に

アワビには魚ほど多くはありませんが、DHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸が含まれています。オメガ3脂肪酸は、ドライアイ症状を緩和したり、加齢黄斑変性など目のトラブルを予防する助けになる可能性があると言われています。

コラーゲン

角膜や強膜、水晶体など目の構造を支える

コラーゲンは体内で最も多いタンパク質の一つで、角膜や強膜、水晶体などの組織を丈夫に保ちます。アワビにはコラーゲンが豊富に含まれているため、目の構造を内側からサポートする力が期待できます。

3. 伝統的な知識:アワビと「石決明」の歴史

東洋医学では、アワビの殻を「石決明(せっけつめい)」と呼び、白内障や緑内障、結膜炎など、さまざまな目の病気に用いてきました。古くから「余分な熱を冷まして目を明るくする」と考えられてきたため、めまいや頭痛、かすみ目にも用いられたといわれます。日本でも江戸時代に編まれた本草書に、「アワビの肉や殻は目を良くする」という記述が見られます。こうした伝統的な知恵が、現代の研究でも少しずつ裏付けられているのは興味深いことです。

あわび

4. アワビの摂取における注意点

栄養豊富なアワビですが、いくつか気をつけるべき点もあります。

貝アレルギーの方は注意

アワビは貝類の一種です。貝類アレルギーをお持ちの方は摂取を避ける、あるいは医師と相談のうえにするなど、十分な注意が必要です。

天然のアワビに潜むリスク

天然ものは育った海域の水質や有害な藻類などの影響を受ける可能性があります。重金属や細菌、ウイルスによる汚染のリスクも否定できないため、信頼できる販売店から購入するのが安心です。妊娠中や免疫力が落ちている方は特に注意して選びましょう。

調理方法にもひと工夫を

アワビに含まれる栄養素をできるだけ失わないようにするには、茹でる・蒸す・焼くといったシンプルな調理がおすすめです。過度な加熱や高温での炒めものは、オメガ3脂肪酸やコラーゲンが壊れやすい場合があります。

5. 他の「目に良い食品」との比較

目の健康を保つ食材としては、ニンジンやほうれん草など緑黄色野菜、DHAやEPAが豊富な魚などが有名です。アワビも、それらとはまた異なる栄養バランスをもつ食材といえます。

ニンジン・ほうれん草など

ビタミンAやルテイン、ゼアキサンチンなど抗酸化作用のある成分が豊富で、加齢黄斑変性予防に役立つ可能性があります。

青魚などはアワビより多くのオメガ3脂肪酸を含むため、ドライアイや目の炎症を抑える効果が期待されています。

アワビはビタミンAや亜鉛、タウリン、コラーゲン、オメガ3脂肪酸をまとめて摂れる点が特徴的です。ただし、目の健康には多角的なアプローチが大事なので、アワビだけでなく他の食材もバランスよく取り入れるのが理想といえるでしょう。

6. こんな目のお悩みにアワビが役立つ可能性

  • 夜盲症の予防: ビタミンAの不足で起こる夜盲症の予防に。
  • ドライアイ: オメガ3脂肪酸やコラーゲンが涙の質をサポートし、潤いを保つと期待。
  • 加齢黄斑変性(AMD): オメガ3脂肪酸や亜鉛、タウリンなどがリスク軽減に関与する可能性。
  • 視覚疲労: タウリンが視細胞を保護し、疲れ目の回復を助けるかもしれません。

ただし、これらはあくまで「栄養面からのサポート」であり、すでに何らかの目の病気を患っている方は、必ず医師の診断・指導を優先してください。

7. まとめ:アワビを上手に取り入れて目を元気に

アワビにはビタミンAや亜鉛、タウリン、オメガ3脂肪酸、コラーゲンなど、目の健康に寄与するとされる成分が数多く含まれています。古くから伝統医学で重宝されてきた背景もあり、近年の科学的研究でもその可能性が注目されています。とはいえ、アワビだけで全ての目のトラブルを防げるわけではありません。ほかの野菜や魚など、多彩な食材をバランスよく組み合わせてこそ、より良い効果が期待できるでしょう。

また、アレルギーや衛生面のリスクには注意が必要です。安全に美味しくいただくために、信頼できる販売店から購入し、適切な調理法で楽しむことが大切です。

私たちの大切な“視界”を支えるためにも、普段の食生活にアワビをうまく取り入れ、日々の目のコンディションを見直してみてはいかがでしょうか。食文化の彩りとしても美味しく、そのうえ豊かな栄養をもたらしてくれるアワビは、きっと新しい発見と健康のサポートをもたらしてくれるはずです。

※本コラムは一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療行為・治療を保証するものではありません。目のトラブルや体調の不安を感じた場合には、専門医や栄養士などの専門家にご相談ください。